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短歌を学ぶ。

桑・蚕・糸・絹を題材とした俳句や短歌などの作品は多くあります。、
これらの作品は概して明治・大正・昭和初期のものが多く、第二次世界大戦後のものは比較的少ないのが特徴です。
これもまた時代を反映していると言えます。


■絹を題材とした短歌を見てみよう。

養蚕について詠んだ短歌、あるいは蚕や桑を詠み込んだ短歌は数多くあります。
その中から作者ごとに何首ずつかをみてみましょう。
そして、この短歌を通じて、どんな情景が思い浮かべられるかを考えてみましょう!
斎藤茂吉
はるばると母は戦を思ひたまふ 桑の木の実の熟める畑に

たらちねの母の辺にゐてくろぐろと 熟める桑の実を食ひにけるかな

朝さむみ桑の木の葉に霜ふちて 母にちかづく汽車走るなり

ひとり来て蚕の部屋にたちたれば 我が寂しさは極まりにけり
土屋文明
朝のひかり泰山木の葉にありて 湧きあがるごとくに機の音きこゆ

うづたかく白絹つみぬいそしみて 国のつぐなひ果たさむがため
結白哀草果
妻と二人夜中に起きてしみじみと 弱き蚕に桑くれにけり

妻と二人真なかに起きて来たりけり 酒ふきかくる弱き蚕に

蚕をあげて繭売りたらば金持ちて 旅に出でうと思ひつつ寝る

蚕上族の心ゆるみにははそはの 母は眼を病み給ふかな

小さきコロ二つの絹糸が陶製の ビルメドくぐり大きコロに乗る

糸屑を口にくはえて噛みながら 女工せはしく撚糸機扱ふ
島木赤彦

桑つみに行きたる妻もかへらねば おのれ一人を暮れめぐるかな

家の隅桑に飢ゑたる蚕らもわがともす灯をうれしかるらん

桑の葉のもろ葉の露のしたたりの けはひ静けきこのあしたかも

桑の葉の茂りに向ふわれの目に 光をひきて日は射しにけり

山蚕飼ふくぬぎが原のところどころ あたま出す石はみな花崗石(みかげいし)

川田純
浅う澄む飛鳥の川の秋の水に 蚕棚いくらもひたしてありぬ

香具山を晴れゆく雨の返し風 夕畑桑の葉揺れ涼しも

夕近く山陰の湖にやる船は 水漬きし桑にさやりつつ出づ
長塚節
桑の根の炭はいぶせし火を吹くと 皮がはねつる吹かなくてあらむ

桑の木の低きがうれに尾をゆりて 鵙(もず)も鳴かねば冬さりにけり