| ■絹を題材とした短歌を見てみよう。 |
養蚕について詠んだ短歌、あるいは蚕や桑を詠み込んだ短歌は数多くあります。
その中から作者ごとに何首ずつかをみてみましょう。
そして、この短歌を通じて、どんな情景が思い浮かべられるかを考えてみましょう!
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| 斎藤茂吉 |
はるばると母は戦を思ひたまふ 桑の木の実の熟める畑に
たらちねの母の辺にゐてくろぐろと 熟める桑の実を食ひにけるかな
朝さむみ桑の木の葉に霜ふちて 母にちかづく汽車走るなり
ひとり来て蚕の部屋にたちたれば 我が寂しさは極まりにけり
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| 土屋文明 |
朝のひかり泰山木の葉にありて 湧きあがるごとくに機の音きこゆ
うづたかく白絹つみぬいそしみて 国のつぐなひ果たさむがため
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| 結白哀草果 |
妻と二人夜中に起きてしみじみと 弱き蚕に桑くれにけり
妻と二人真なかに起きて来たりけり 酒ふきかくる弱き蚕に
蚕をあげて繭売りたらば金持ちて 旅に出でうと思ひつつ寝る
蚕上族の心ゆるみにははそはの 母は眼を病み給ふかな
小さきコロ二つの絹糸が陶製の ビルメドくぐり大きコロに乗る
糸屑を口にくはえて噛みながら 女工せはしく撚糸機扱ふ
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| 島木赤彦 |
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桑つみに行きたる妻もかへらねば おのれ一人を暮れめぐるかな
家の隅桑に飢ゑたる蚕らもわがともす灯をうれしかるらん
桑の葉のもろ葉の露のしたたりの けはひ静けきこのあしたかも
桑の葉の茂りに向ふわれの目に 光をひきて日は射しにけり
山蚕飼ふくぬぎが原のところどころ あたま出す石はみな花崗石(みかげいし)
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| 川田純 |
浅う澄む飛鳥の川の秋の水に 蚕棚いくらもひたしてありぬ
香具山を晴れゆく雨の返し風 夕畑桑の葉揺れ涼しも
夕近く山陰の湖にやる船は 水漬きし桑にさやりつつ出づ
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| 長塚節 |
桑の根の炭はいぶせし火を吹くと 皮がはねつる吹かなくてあらむ
桑の木の低きがうれに尾をゆりて 鵙(もず)も鳴かねば冬さりにけり
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